バガヴァッド・ギーターの世界
- バガヴァッド・ギーターはインド古典で最も有名な書であり、ヒンドゥー教珠玉の聖典。
- 表題は「神の歌」の意であり、インド哲学諸流派、宗派の共通(常用)の聖典であり、
現代社会にも多大な影響を持つ。 - バガヴァッド・ギーターは、十八巻よりなる大叙事詩「マハーバーラタ」第六巻に編入されており、
紀元前4世紀頃の作品と思われ、一般にヴェーダの賢人ヴィヤーサによるものとされている。
- バガヴァッド・ギーターには解脱を達成できる3つのヨーガ(道、方法)が示されている。
- バガヴァッド・ギーターの物語はパーンダヴァ軍のアルジュナ王子がクルクシェトラ戦争の戦場で
戦車の御者兼案内人クリシュナへの助言を乞うもの。
そこで重要なのは、アルジュナが個別の魂を表し、クリシュナが至高の魂を表してること。 - 「あなたの職務は行為そのものにある。決してその結果にはない。
行為の結果を動機としてはいけない。また無為に執着してはならぬ。(二.四七)
アルジュナよ、執着を捨て、成功と不成功を平等(同一)のものと見て、
ヨーガに立脚して諸々の行為をせよ。ヨーガは平等の境地であると言われている。(二.四八)」
バガヴァッド・ギーターには、解脱へと導く3つのヨーガ(道)が示されている。
カルマ・ヨーガ(行為の道)
「行為のヨーガによって行為を放擲し、知識により疑惑を断ち、
自己を制御した人を、諸行為は束縛しない。(四.四一)」
「しかし、行為の放擲は、行為のヨーガなしでは達成され難い。
行為のヨーガに専心したムニ(聖者)は、遠からずブラフマンに達する。(四.六)」
バクティ・ヨーガ(献身の道)
クリシュナの教えのなかで最も重要。クリシュナへの愛と献身によって、
献身する者はいっさいの苦悩から開放される。 「私に意(こころ)を向け、私を親愛せよ。
私を供養し、私に礼拝せよ。このように私に専念し、私に専心すれば、
あなたはまさに私に至るであろう。(九.三四)」
ジュニャーナ・ヨーガ(知識の道)
識別知によって自己と宇宙の本質を開放し、現実と非現実を区別する。
「人がその知識により、万物の中に唯一不変のものを認め、
区別されたものの中に区別されないものを認める時、それを純質的な知識と知れ。(一八.二〇)」