ヨーガを語る上で仏教を切り離すことは出来ない。
しかしながら、現代の日本人(実際には日本人だけではない)は、
宗教に関する教育を受けておらず、正しい知識が非常に乏しい。
その為、ヨーガ業界では、本音は別として「ヨーガと宗教は無関係」などと言わざるを得ない。
ヨーガと仏教の関係は、とても長く、絶対に切り離せない。
ヨーガという行の体系ができたのは、仏教が興った紀元前500-600年より100‐200年前に成立した「カタ・ウパニシャッド」と思われている。つまり紀元前700-800年頃。
仏教の開祖、ガウタマ・シッダールタ(釈迦、ブッダ)、
ジャイナ教の開祖、マハーヴィーラ(本名ヴァルダマーナ)はともに、ヨーガの達人だったとされている。
*マハーヴィーラとは、偉大な勇者の意。
諸の悪を作すことなく、衆の善を奉じ行い、自らその意を清くすること、これは諸のブッダの教なり。(諸悪莫作、衆善奉行、自浄其意、是諸仏教)「ダンマパダ」183
ヨーガの起源は、インド正統派思想であるウパニシャッドに生まれたと思われがちだが、
実際には、非正統派思想である、仏教、ジャイナ教にわたって同時に表面化している。
つまり紀元前500-600年ころには、ヨーガはインド的宗教全体に行きわたり、浸透していたようだ。
仏教の開祖、ガウタマ・シッダールタは、修行の初期において低次の瞑想、苦行、荒行に取り組んだものの悟りを開くことができなかった。
苦行的瞑想修行の道を捨て、穏やかな心で菩提樹の下に坐り、瞑想を深め、最終的に悟りを開いた。
ブッダがはじめに説いた説法には、「不苦不楽の中道」と「四諦八正道」がある。
不苦不楽の中道とは?
- 2つのものの対立を離れ、どちらにも属さずに卓越したありかた
- 有と無、常と断、苦と楽のどちらかに極端に偏ることなく、固執せずに、中正の道を歩むこと
四諦八正道とは?
- 苦諦:人生は苦しみであるという真理
- 集諦:苦しみの原因は愛着、渇愛にあるという真理
- 滅諦:苦しみの原因は滅せられるべきであるという真理
- 道諦:苦の滅に導く道についての真理
八正道
- 正見:正しい見解
- 正思惟:正しい思い
- 正語:正しい言葉
- 正業:正しい行為
- 正命:正しい生活
- 正精進:正しい努力
- 正念:正しい念想
- 正定:正しい精神統一